2015年8月21日 星期五

円安に立ち向かう企業の戦略【NHKニュース おはよう日本】





近田

「急速に進む円安についてです。」
和久田

「円安になると、自動車メーカーなど日本でものを作って海外に輸出する企業には追い風になります。

一方で、海外から材料や商品を輸入して国内で販売する企業は、今までより仕入れ値が上がり、経営が圧迫されます。

即席めんや冷凍食品、それにコーヒーなど、私たちに身近な食料品が値上がりしていますが、これも、円安で仕入れ値が上がっているからなんです。」
近田

「人件費が安い海外で生産し製品を国内に逆輸入してきたメーカーにとっては、この円安が逆風になっています。

この逆風にどう立ち向かおうとしているのか、企業の戦略を取材しました。」
生活用品メーカーのアイリスオーヤマです。

主に中国・大連にある自社工場で家電製品や収納用品を生産。

低価格を武器に販売を伸ばしてきました。

しかし、円安が進んだ今、生産の一部を中国から国内に切り替えようとしています。

アイリスオーヤマ 大山健太郎社長

「今の為替に応じたものづくりをしようと思うと国内回帰。

これから当社だけではなく、いろいろな企業でも進むのではないか。

このメーカーでは、日本と中国、どちらの国で作ったほうが安いのか、すべての商品で詳細に比較しています。

「製造原価や物流コスト、それも含めて、かなり細かく項目を見て、トータルどちらが得かを判断している。

3年前、1ドル80円のころ、中国での生産コストは日本を大幅に下回っていました。

しかし円安が進み、日本から支払う製造費や輸送費などが割高に。

商品によっては日本で作ったほうが安く済みます。

さらに消費者のニーズに迅速に対応できるメリットもあると言います。
アイリスオーヤマ 大山健太郎社長

「中国で作るほうがメリットがあるか、日本で作るほうがメリットがあるか、そのポイントが(1ドル)110円。

(1ドル)110円を超えると、国内で生産したほうが、コストだけでなくリードタイム(発注から納品までの時間)、いろいろな面でプラスになる商品がある。」
山根記者

「為替の変動に左右されない経営を進める動き、今、国内に広がっています。
全国で、およそ700店舗のスーパーを展開する神戸物産です。

輸入食品や自社ブランドの商品など、安さを前面に打ち出した品ぞろえで、去年(2014年)は、およそ2,000億円を売り上げました。

ところが、急速な円安で、商品のおよそ3割を占める輸入品の仕入れ価格が上昇。

自社ブランドの商品も、輸入していた原材料費が上がり、安さを維持するのが難しくなってきています。
神戸物産 沼田博和社長

「原材料費がどうしても為替の影響で上がってしまう、これは避けようのないことではあるが、やはり価格転嫁を極力抑えようと、お客さんにそれ以上の負担はさせられない。

この会社では円安の逆風に対して、大胆な戦略を打ち出しています。

多くのスーパーが、コストが増加し商品の値上げを迫られる中、去年から、値下げを目指すことにしました。

例えば、この鍋スープ。

原材料の輸入大豆などの価格が上がっていますが、およそ3割値下げしました。

なぜ、値下げができたのか。

この会社は、自社工場で鍋スープを作っています。

工場を24時間稼働にすることで、生産量を倍増。

薄利多売にすることで、値下げを可能にしたのです。

神戸物産 開発部門 岡本道暁部門長

「自社で加工したものを自社で販売する“製販一体”の流れが築き上げられている。

圧倒的な生産量をもって、圧倒的な価格で打ち出して、勝負にいく。

この会社の工場では、輸入原材料の値上がりに対抗するために、こんなアイデアも導入し始めています。
「見ていただいたら分かるように、牛乳を作っている。

牛乳工場で、去年から作っているのは…。

なんと、水ようかんです。

輸入小豆などの原材料費は上がっていますが、すでにある製造ラインを活用することで、価格を抑えることができました。

「設備投資は新たに何もしていない。

牛乳や乳製品を作るラインを、そのまま生かして使用している。

十分な利幅は確保できる設計になっている。
さらに、原材料の生産も自社で始めています。

北海道にある1,500ヘクタールの農場です。

自分たちで作った農産物を加工・販売することで、輸入原材料にできるだけ頼らない経営を目指しています。

去年からは、一部の農産物を育てる際のエネルギーも自前でまかなっています。

およそ2億円をかけて、温泉を掘削。

その熱を、パイプを通してハウスに送り込んでいます。

為替の影響を受ける灯油ではなく、温泉の熱を使えば、北海道の冬でも安定して農産物を収穫することができます。

これまでよりも年間5,600万円ほど、コストを削減できると言います。

地熱はただ同然。

温泉流していればある程度、温度は確保できる。

12か月収穫できる、これが最大のメリット。

円安に左右されないようにするアイデアと攻めの経営。

この会社は、この1年間で20%近く売り上げを伸ばしています。

神戸物産 農業資源部門 太田雄二部門長

「為替や原油価格のリスクを減らすためにも、どれだけむだを省いていくかがキーワード。

どれだけ先を読んで、毎日、日々、何をどう変えていかなければいけないか、常に考えるというのが、私どもの強み。

和久田

「国内の大手メーカーでは、ほかにも『キヤノン』や『パナソニック』『シャープ』などで海外の生産拠点の一部を国内に移す動きが出ています。

しかし、国内市場の縮小が見込まれる中、生産拠点を戻すには多くのコストが必要な上、円安基調が続くかを見通すのは難しいのが現状です。」


近田

「為替相場に左右されない経営体質をいかに構築していくかが、企業に求められそうです。

Japanese Listening Comprehension - Deciding on a Hotel in Japan

WTOに韓国を提訴 水産物輸入規制の緩和に応じず


日本の水産物を輸入規制している問題で、政府は韓国をWTO(世界貿易機関)に提訴しました。

 韓国はおととし9月から、福島など8県のすべての水産物の輸入を規制しています。日本は緩和を求めてきましたが、韓国が応じないため、政府はWTOへの提訴に踏み切り、20日、第三者委員会の設置を要請しました。この問題は今後、日韓の二国間協議に加えて、第三者による裁判でも判断されることになります。

キリンHD、ミャンマー最大手のビール会社買収 市場の成長図る(15/08/20)







キリンホールディングスが、ミャンマー最大手のビール会社を買収した。
キリンホールディングスによると、ミャンマーのビール会社「ミャンマー・ブルワリー」の株式55%を、シンガポールの会社から、およそ700億円で取得し、買収したという。
「ミャンマー・ブルワリー」は、従業員およそ1,000人、売上高がおよそ250億円で、ミャンマーでは最大手のビールメーカーになる。
国内のビール市場が伸び悩む中、ミャンマーは、民主化などの動きから消費拡大が期待され、キリンは、有望市場であるミャンマーで、ブランドや技術力、商品開発力などを生かして、さらなる市場の成長と事業基盤の構築を図るという。

Japanese Listening Comprehension - A Japanese Business Presentation